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『クスノキの番人』レビュー あなたはこの木の力を信じますか?

その木に祈れば願いが叶う

「クスノキの番人」表紙
タイトル『クスノキの番人』
著者東野圭吾
出版社実業之日本社
発行年2020年
ページ数451ページ
読書目安時間10~12時間

 


■ はじめに

ようこそPonBooks

今回は、東野圭吾さんの『クスノキの番人』をご紹介します。
ミステリー作品で有名な東野さんですが、この作品ではファンタジーや人間ドラマが描かれており、新たな一面を楽しめます。
物語の舞台はクスノキという神秘的な存在と、それに関わる人々の心の交流です。

■ あらすじ

玲斗は、会社を不当な理由で解雇され、腹いせに罪を犯してしまい、絶望の中で警察に逮捕されていました。
そんな彼の前に、突然現れた弁護士は「ある人の提案に従えば釈放される」と伝えます。
心当たりのない依頼に戸惑いながらも玲斗はその話に乗り、指定された場所へ向かいました。
そこで待っていたのは、自分の伯母だと名乗る年配の女性・千舟。
彼女が玲斗に課したのは、神社にある「クスノキの番人」としての役割でした。
言い伝えを持つ不思議なクスノキと向き合いながら、玲斗の新たな物語が動き出します。
クスノキはただの木ではなく、願いや思いを預かる特別な存在
玲斗は番人として様々な人々と関わる中で、自分自身も成長していきます。
クスノキを通して紡がれる人々の想いと、その裏に隠された物語が少しずつ明らかになっていく過程は、読者を引き込む力があります。

■ 心に残るキャラクターの成長

主人公の玲斗は、物語の序盤では挫折し絶望感を抱えた青年として描かれています。
しかし、クスノキの番人としての役割を果たしていく中で、彼の心に変化が生まれます。
自分自身と向き合い、他者との交流を通じて成長していく姿は、読者にも共感を与えます。
また、玲斗を導く千舟や他の登場人物たちも魅力的で、それぞれが物語に深みを与えています

 

■ クスノキがもたらすメッセージ

クスノキという存在は、ただの木ではなく、人々の願いや思いを受け止め、寄り添ってくれる象徴的な存在です。
この物語を通して感じられるのは、「誰かに寄り添うことの大切さ」「成長や変化を受け入れる勇気」といった普遍的なメッセージです。
現実には叶えられない願いであっても、クスノキのように誰かを思いやる心が人を前へと進ませるのだと感じました。

 

■ 印象に残っている場面

千舟のために勇気を振り絞り、物申す場面
ここが一番玲斗の成長と千舟との絆がを感じさせられたところです。
いつも厳しくも優しく指導してくれる千舟ですが、この時は玲斗のことが頼もしく思えたのではないのでしょうか。

■ 感想と見どころ

個人的には、玲斗が様々な人と関わる中で自分を見つめ直し、成長していく過程がとても印象的でした。
読者が彼の心の葛藤や迷いに寄り添いながら、まるで自分自身も成長しているような感覚になります。
また、ファンタジー要素と現実的な人間関係のバランスが絶妙で、最後まで一気に読み進めることができました。
玲斗は出生も少し複雑で、けっして裕福な家庭と言える育ちではないです。
なので、言葉づかいや所作についていつも千舟に注意されています。
しかし、やりとりがほっこりし二人の絆が深まっていくところも見どころです。

東野圭吾さんの作品で、ミステリーしか読んだことのない方はぜひ読んでみてください。
東野圭吾さんのすごさが改めて実感出来ます。

 

■ こんな方におすすめ

  • 東野圭吾さんのファンで、ミステリー以外の作品にも興味がある方
  • 心温まる物語や、ファンタジー要素が好きな方
  • 人生に迷ったとき、希望や前向きなメッセージを受け取りたい方

『クスノキの番人』は、ただのファンタジーではなく、人間の成長や家族愛、絆の大切さを感じさせてくれる素晴らしい作品です。ぜひ手に取ってみてください!

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