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『成瀬は信じた道をいく』レビュー ~成瀬あかりの魅力~

成瀬は信じた道をいく 表紙
タイトル『成瀬は信じた道をいく』
著者宮島未奈
出版社新潮社
発行年2024年
ページ数199ページ

1. 成瀬あかりの魅力は健在、でも今回はもっと成長している!

まず、前作を読んだ人なら、成瀬あかりのまっすぐな生き方に惹かれたはず。

今作でもその強さは変わりません。

でも、今回は成瀬自身がさらなる成長を見せるんです。

彼女が「自分の信じた道」を歩み続ける一方で、現実の壁にぶつかりながらも、そのまっすぐさを失わない姿には圧倒されます。

これ、普通の人にはなかなかできないことですよね。

成瀬がどんなふうに成長しているのか、それを見守るだけでも、この本を読む価値があります。


2. お父さん・慶彦の章が超感動!

私が特に好きなのが、お父さん・慶彦の章。これは、単に成瀬の物語ではなく、親として子供をどう見守るかというテーマがしっかり描かれている部分です。

慶彦は、成瀬が自分の道を進んでいくことに最初は不安を感じています。

子供が自立していく姿に、喜びと同時に寂しさを感じる親の気持ちって、誰でも共感できるものですよね。

だけど、成瀬のまっすぐな生き方を見ているうちに、慶彦も「信じて見守る」ことを学びます。

この章は、読んでいるだけで涙が出そうになるほど感動的です。

お父さんの気持ち痛いほどわかります...

感動もするのですが、あかりに対する慶彦の心の中の突っ込みが面白くて笑ってしまいます。慶彦推しです。


3. 続編ならではの深みと広がり

続編としての『成瀬は信じた道をいく』の魅力は、前作で描かれたキャラクターたちがさらに深く掘り下げられている点です。

前作では、成瀬の行動に対して周りが驚く場面が多かったですが、今作ではその影響を受けて周りのキャラクターたちがどう変わっていくのかが描かれています。

たとえば、成瀬の父親の慶彦だけでなく、彼女の友人や周囲の人々も、成瀬の影響を受けてそれぞれの道を模索し始めます。

これって、単なる「成長物語」ではなく、成瀬を通して読者自身も「自分はどう生きたいか?」を考えさせられる部分があるんです。

成瀬の一挙一動が、読者にも何かしらの影響を与えてくるんですよ。

しかも、それが押しつけがましくなく、自然に心に届く感じが、宮島未奈さんの文章の魅力だと思います。

まだ「成瀬は天下を取りにいく」を読んでない方はレビュー記事を書いていますので一度チェックしてみてください。

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4. 誰もが持つ「自分を信じたい気持ち」を後押し

今作の特別な価値は、成瀬あかりというキャラクターを通して、誰もが持っている「自分を信じたい」という気持ちを引き出してくれるところです。

現代の社会では、自分の進むべき道に迷うことも多いですが、成瀬のように自分を信じてまっすぐに歩み続ける姿に触れることで、自然と「自分もやってみよう」と思える勇気をもらえます。

この物語を読んだ後、少しだけでも前向きになれたら、それはこの本が与える力なんです。


5.成瀬あかりの魅力

なんといっても主人公・成瀬あかりの魅力は本当に読者を虜にします。

いつも無表情で色々な事を淡々とこなしていくが、好奇心旺盛でこれをやると決めたら揺るがないし納得いくまでやる。
そんな感じなので頑固なのかなと思いきや、アドバイスなどはしっかり聞き入れる素直さがある。

いつの無表情で感情を表に出さないので、その成瀬が喜んでいるシーンがあるとなんだかこっちまでうれしくなってしまいます。

「探さないでください」と書かれた両親への置手紙...すごく心配になりました。
まさかです、これ以上は言えませんが実際に読んで確かめてみてください...


まとめ:今すぐ手に取ってほしい理由

『成瀬は信じた道をいく』は、前作を読んだ人も、そうでない人も楽しめる、心に響く物語です。成瀬あかりのまっすぐな姿勢が、読む人の心を強く揺さぶります。

そして何より、親子関係や周囲の人々との絆が丁寧に描かれていて、誰でも共感できる部分がたくさん詰まっています。

あなたが今、自分の生き方に迷っていると感じているなら、成瀬の物語は絶対に励ましになるはずです。

この本を読んだ後、きっと「自分も前に進んでみよう」と思える、そんな力を与えてくれる一冊です。

続編だからこその深みを感じながら、ぜひ成瀬あかりの物語に触れてみてください!

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ponsuke

こんにちは!Pon Booksへようこそ。 私はサラリーマンで、通勤時間や休日に読書を楽しんでいます。 子供の頃、寝る前に読んでもらった絵本から始まり、今ではさまざまなジャンルの本を読んでいます。 このブログでは、私のおすすめ本や感想をシェアしています。読書の楽しさを皆さんと共有できたら嬉しいです!

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