タイトル | 『傲慢と善良』 |
著者 | 辻村 深月 |
出版社 | 朝日文庫 |
発行年 | 2022年 |
ページ数 | 504ページ |
読書目安時間 | 6~8時間 |
※ネタバレありです
恋愛ミステリーの枠を超えた、善良さと傲慢さが交錯する人間ドラマ
まずは架と真実の関係にドハマり
この物語、読んでて何が一番響いたかって、やっぱり架(かける)と真実(まみ)の関係なんですよね。
最初は「この二人、うまくいくでしょ」って思ってたんだけど、読み進めるうちに「あれ? ちょっと待って、これ大丈夫?」って不安になってきました。真実がついた嘘、ストーカー被害を装うな所から、二人の関係を一気に複雑にしちゃうんです。
この嘘の背景には、真実の中にある不安や孤独があって、彼女が抱えてるものの重さに共感しつつも、架がどうこれに対処するのかが気になって仕方なかったです。
架も架で、最初は「彼女を守らなきゃ!」って意気込んでるんだけど、真実の本当の姿に気づいてからは、自分自身の「善良さ」と「傲慢さ」
に直面することになります。この二人のやり取り、リアルでいて胸にグッとくるものがありました。
小野里さんのアドバイスがズシッとくる
さて、この物語で忘れちゃいけないのが、小野里さんという結婚相談所の老婦人。
彼女が架に対して現実的なアドバイスをするんだけど、これがまたキツい。
だけど、その厳しさが逆に刺さるんですよね。「結婚って、そんなに甘くないんだな…」って現実を突きつけられる感じ。
結婚って理想と現実の間で揺れ動くものだと痛感させられるシーンがいくつもあって、読んでる側も一緒に考えさせられました。
小野里さんが言うことって、耳が痛いけど大事なことばかり。
彼女が架に「現実を直視しなければいけない」って言う場面が、真実にとっても、読者にとっても大きなターニングポイントになってるんです。
友達ってありがたいけど、時に辛い
真実の友人である美奈子と希実も物語の中で大きな存在感を放ってます。
この二人が真実に「架はあなたを70点として見ている」なんて言うシーンがあるんですけど、これが結構衝撃的でした。
友達の言葉って、時に優しくもあり、時に残酷でもありますよね。
彼女たちの言葉が真実に与えた影響がどれだけ大きいかを考えると、友情って一体何なんだろうって深く考えちゃいます。
美奈子たちの存在は、真実にとってどうだったのか…彼女たちの言動が真実を追い詰めた部分もあるし、でも支えになっている部分もある。この矛盾がまたリアルで、読んでいて胸が痛くなりました。
善良さと傲慢さって表裏一体?
『傲慢と善良』というタイトルが示すように、この物語は「善良さ」と「傲慢さ」というテーマが根底にあります。
誰だって「善良」でありたいと思うけど、実はその裏には「傲慢さ」が隠れていることもある。
架も真実も、この二面性と向き合わざるを得なくて、その過程が読んでいる私たちに「自分もこういうこと、あるかも…」って思わせるんです。
架が真実を守ろうとする一方で、無意識に彼女に期待やプレッシャーをかけてしまう場面があって、「ああ、これって善良さだけじゃなくて、どこか自己中心的な部分もあるんだな」って感じました。
このテーマが物語全体を引き締めていて、読み応えがありましたね。
最後に残る余韻がスゴい
物語の結末については、ネタバレを避けるために多くは語りませんが、一言だけ言うと「余韻がスゴい」です。
架と真実が最終的に選ぶ道、その選択が本当に正しかったのか?
それを考えると、読後も頭の中でぐるぐるといろんな思いが巡ります。
完全にハッピーエンドじゃないからこそ、リアルに感じられるし、その曖昧さが物語に深みを与えています。
まとめると、『傲慢と善良』は、登場人物たちのリアルな感情や人間関係の複雑さが丁寧に描かれた作品です。
読み終わった後も、そのテーマやキャラクターの選択について考えさせられる部分が多く、じっくりと味わえる一冊だと思います。
ぜひ、興味があれば読んでみてくださいね!!
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